NHKにようこそ!

NHKにようこそ! (角川文庫)

NHKにようこそ! (角川文庫)

いわゆるライトノベルと呼ばれる本はほとんど読んだ事がないのですが、たいそう売れているそうなので試しに読んでみました。小説なのにサクサク読める本ってあまり好きじゃないんです。すぐ読み終わっちゃったら勿体無いような気がしてね。

大学を中退してずるずるとひきこもる佐藤君の前に現れた清楚な美少女、岬ちゃん。「あなたは私のプロジェクトに大抜擢されました」って、なにそれ?エロスとバイオレンスとドラッグに汚染された俺たちの未来を救うのは愛か勇気か、それとも友情か?驚愕のノンストップひきこもりアクション小説。

ということなのですけれども。なんかまぁ、とにかくひきこもりの青年が、もがいたりじたばたしたりするわけですよ。テンポも良いし、決してつまらないという訳ではないのですが…。ひきこもり青年と自傷少女に、共感どころか説教くれてやりたくなった自分に驚きです。ニコ子さんも筋金入りのインドアっ子なのにねぇ。あと、岬ちゃんのエキセントリック気取りの口調にも腹が立ちましたが、そんなこと言い出すとそれこそ日本中の大人向け美少女アニメとかに文句垂れる羽目になるのでやめておきます。そういうのが好きなんだよね。「不思議ちゃん美少女に振り回されるオレ」みたいなのが(あきらめ)。
つか文体が大槻ケンヂさんに似過ぎ。フレーズをパクっている、とかではないし、好きな作家の文体に似てしまう(滝本さんが大槻さんファンなのかは知りませんが)のもわかるけど、それにしてもこれはちょっとなぁ。ま、これに限らず「ダメ人間の青春と煩悩と苦悩」とか「童貞の瞬発力」とか「ヒラヒラの服を着た美少女の不思議ちゃん」とかそういったモチーフは、既に大槻ケンヂさんの著書でお腹いっぱいなのでもう結構です、というのが正直な感想です。