吉原御免状

劇団☆新感線の舞台「吉原御免状」を見て来ました。
今回はいのうえ歌舞伎では初の原作モノ。事前に本を読んでから見たのでわかり易くて良かったです。いのうえ歌舞伎はいつも誰が誰やら…と思ってるうち終わっちゃうからなぁ。
以下ネタバレしますのでこれから行かれる方はお読みにならぬ様。

まず原作のお話から。
時代モノの本は苦手だと思って殆ど読んだことがないのですが、これすごく面白かった。新感線の舞台と似た世界観(中島かずきさんが隆慶一郎作品にいろいろと影響を受けた…ということなのでしょう)で、ワクワクしながらほぼ一気読み。で、頭の中でキャストを想像しながら読んでいたのですが。
実はわたくし、この時点でもんのすごい間違いを犯していたのです。
はなっから高尾太夫(吉原ナンバーワンの美人花魁)が松雪泰子さん、勝山太夫(実は柳生一族のくのいち)が高田聖子さんだと思い込んでた。そんで京野ことみさんは誰の役なんだろうなぁ…。おしゃぶ(子供)か?って不思議に思ってた。正解は、高尾が京野さん、勝山が松雪さん(聖子さんはおばばさま)。始まる直前にフライヤー見て気が付きました。危ない危ない。あとは、梶原善さん演ずる水野ナントカが橋本じゅんさんぽいなぁ、と思っていたのにそれも違った。間違いだらけ。
原作では、高尾太夫がかなり魅力的な女性だったので「それ京野さんでいいの?」ってずいぶん失礼なことを思ったのですが、いざ始まってみると高尾の存在は結構ないがしろ。高尾に惚れ、けれど勝山にも惹かれ、そして子供とはいえおしゃぶにも心動かされ…っていう原作の感じはばっさり切られて、勝山と誠一郎の禁断の恋みたいな話になっちゃってましたね。そんで最後に「私は今までいったい何をしていたんだろう…。」って言われても、そんなのこっちが聞きたいよ、っていう。誠一郎があんまり魅力的な男性じゃなくなってた。堤真一さんは良かったのだけどねぇ。殺陣が綺麗なので見てて安心だし。ちゃんと優しそうだし強そうだし。
今回は、ネタは殆どナシで。おひょいさんがじゅんさんに怒鳴られるところぐらいかな。古田新太さんも、悪に徹していらっしゃいましたよ。見せ場のある登場人物が少ないので、右近さんなんかもごくごく普通の役で、いつもの新感線を期待すると若干肩透かしを食らうかもしれません。
と、ここまでぐだぐだ書いてきましたが。
もう今回はおひょいさんですよ。おひょいさん凄過ぎる。ていうかヤバ過ぎる。しょっぱなのシーンでどもってたし(堤さんがどもり返すアドリブフォローあり)。そのあと「あざみ野」という名の女郎を「どくだみ」と呼ぶアドリブ(これは意図的。たぶん。あざみ野役の女優さんが、素で「えぇー!」ていうリアクションして大爆笑。)で名誉挽回したかと思いきや、そのあと素で高尾のこと「勝山太夫」って呼んでて、もう会場どん引きですよ。
もしや殺陣のひとつもこなしてくれるかと期待していたのですが、とんでもなかったです。立ってるのでやっとっぽかったもの。公演中に死んじゃったらどうしよう。ホントに。無事に全公演終わることを祈るのみです。
花魁の衣装は確かに綺麗だったけど、所詮衣装で遠目だと良くわからないし、内容ともどもちょっと控えめだなぁ、と感じました。と言っても、3時間飽きさせないのはやっぱり凄いし、今回は何より回り舞台がとても良かったです。