『噂の男』

PARCO劇場にて。私の好きな役者さんたちが集まってわいのわいのとやっている感じが、単純に「いいなぁ」と思えた舞台。メインキャスト5人*1に食い付き、あらすじも知らずに行ったのですが、あぁ、なんといや〜な話であったことよ。
以下ネタバレしますよう。
まぁ救いの無い話。舞台は大阪の演芸場ということで笑いも絶えないんだけれども、話が進むにつれどんどんいや〜な感じが増してくる。絶対的な悪人はいないけれど善人もいない。それぞれに思惑を持った、それぞれ壊れた5人の過去と現在のおはなし。
最初は完全に5人芝居(の設定)だったと思うのですが、夫婦漫才の役はいつごろできたもんなんでしょう。かなりのキーパーソンじゃないですか。ていうかあの女…。あいつ一番やなやつだよなぁ…。出演者中唯一の同性なのに、共感できる部分がいっこもなかったよ。それはそれで全然アリですけども。
八嶋さん演じるボイラー技師が狂言回し的な役回りなのかと思っていたら、狂言回しは山内さんのほうなのですね。過去の事件とも直接関係ないしさとしさん(幽霊)の姿は見えないし、嫌な思いだけする可哀想な役回り。よく考えたら、あの人あんまり悪い人じゃないし。今回の山内さんはヅラ着用なので、普通の男前に見えて逆に面白かったです。あと私服が微妙でなんか気になって仕方がなかった。あれは芸人さんに誰かモデルがいらっしゃるのかしら。何度も水道で手を洗うのに、濡れてしまいそうな長さの白いマフラーを首に巻いているというね。なんなんだろうあれ。
八嶋さんは初めて生で見たのですが、芝居のメリハリがハンパない。じゅんさんやさとしさんをも超えるテンションだったので、ちょっと衝撃を受けました。ちいこさをテンションでカバー、っていうのが地になってしまっているのだろうか。さとしさんとじゅんさんは…。同じ舞台に立ってるのがもう普通に面白くて。劇中の漫才もとても良かった。漫才の台本は中川家が書かれたそうで、ネタも普通に面白かったなぁ。日が進むにつれ、アドリブの応酬になっちゃうのかなぁ。
堺さんは良い役だった…!ホモが嫌いな女子なんかいません!!*2ってーなー。いや、ホモなのが良かったと言うわけではなく。とりあえず、堺さんも生で見るのは初めてなのですが、まー顔小さい!!そしてなにあのアルカイックスマイル!アルカイック!と言いつつも、この手の「笑顔で腹黒」な堺さん好きだわ。にこにこしながら廃人に仕事を振る口調とかたまらん感じでした。M属性をくすぐられる感。
基本善人よりわるいひとが大好物のニコ子さんとしましては、後味悪い…とはいえ、ゲラゲラ笑えて、尚且つ5人5様の「悪意のニヤリ」が見れて満足いたしました。面白かった。

*1:堺雅人さん、橋本じゅんさん、八嶋智人さん、山内圭哉さん、橋本さとしさん。

*2:げんしけん』より。