『魔界転生』

なんか急に見たくなってしまい、チケット漁って行ってきましたよ。思いのほかすごく良いお席で見れた。前すぎて全体が見えないほどに。新橋演舞場は花道もあるし舞台も広いので、きっと10列目ぐらいがベストなのでしょうね。
しかし今回は「成宮くんが見たいの(はぁと)!」というミーハーきっかけなので間近で見れて満足。キレイかったわ〜。瞳がキラッキラしていた。お芝居自体も歌舞伎のゴージャスさとストーリー展開、G2さんぽいネタと見所満載で面白かったです。
ネタバレはあんまないけど、長くなったので畳みまする。
さて今回、イヤホンガイドがあったので面白がって借りてみました。歌舞伎以外では初の試みなのだそうですが、これものそい便利だった!映画で予習して行ったので、たぶんなくてもストーリーはわかったと思うのだけれど、セリフの中に出てくる古い言葉や時代背景を説明をしてくれたり、休憩中に演者さんのコメントが流れたりと、かなりの充実っぷり。
四郎たちにたぶらかされている殿様、徳川頼宣の衣装が中盤から白地に赤いビロードの襟で金刺繍の羽織になっていて、「その着物の様子からも、四郎(キリシタン)達にかなり影響されている様子がわかる」とか、「武蔵が一心不乱に削っている木刀は、巌流島の戦いの際の船の櫂。」なんて、ガイドで聞かなかったら絶対わからなかったよ。なるほどね!新しい人物が舞台に登場するたび、役名とお名前を言ってくれるのもとても親切。控えめなDVDの副音声という感じ。これ500円っていいなぁ。他の時代物のお芝居とかでも取り入れればいいのに。
ただ、やはりたまーに舞台上のセリフとガイドの声が被ったりするので、その辺は各自の注意が必要だと思った。集中力削がれるかも。あと、劇場の外どころかロビーでも電波があんまり入らなくなるので、休憩中うろうろしていたらコメントとか全然聞けなかった*1。ひとりでこの休憩時間*2どうしよう…、としょんぼりしていたので、良い暇つぶしになりましたよ。
さてさて、『魔界転生』は徳川家滅亡を企てる天草四郎率いる魔界衆と、柳生十兵衛一派の戦いの物語。ちゃんとツケ打ちの方がいらして、殺陣の効果音がツケ*3だったのが良い雰囲気。終盤、十兵衛がかなりの数の敵と戦う長いシーンがあるのですが、回り舞台が効果的に使われてて、あ、G2さんの演出ってすごい、って思った。舞台中央の奥と手前に四郎と十兵衛が立ち、四郎が蜘蛛の糸…ではなく妖力のある髪(なので色は黒)を投げると舞台がゆっくりと回り、首に髪の絡みついた十兵衛と四郎が舞台の左右に対峙する…とか*4見てて鳥肌が立ったわ。舞台の奥行きがあるのって良いね。客席からは見づらいのだろうけど、私は好き。
そんな歌舞伎テイスト伝奇ロマンに華を添えるのが、十兵衛の弟子、柳生七人衆。殺陣シーンで華麗な剣さばきを見せつつ、客いじりからイヤホンガイド顔負けの解説まで、ネタ部分を一手に引き受けます。初めて見る方が多かったのですが、中には福田転球さんなどのツワモノのお姿も!がちがちなお芝居だと思っていたので、こんなに笑いどころがあるとは思わなかったよ。まさか幽霊がフライングするとはねぇ!そうそう、由比正雪役の方のパーツが中心に集まりがちなこの顔*5、どこかで見覚えが…と思ったらスタジオライフの方でした。イヤミな切れ者っぷりが良かった。
でもって。私は成宮さんの、猫みたいに両方の口角がきゅうっと上がってる口元がすごい好きなのです。口角がそのままほうれい線*6と繋がるにやにや笑いとかが。だからこういう、目をらんらんと光らせて大口を開けて笑う妖怪のような役柄は是非見たいなぁ、と思ったわけ。というわけで、成宮さんはルックス的に素晴らしかった。さっきも書いたけど、ひとりだけ目がキラキラしててねぇ。衣装も、最初の島原のシーンこそあの伴天連カラー(ザビエルみたいな)の宣教師っぽい服だったけれど、転生してからは白装束の長い裾をマントのように翻して。胸に下げたクロスとバックル(着物の上着の前を留めるのってなんて言うの?)がキラキラ。真っ赤なネイルもぴかぴか。そのままフィギュアにして飾っておきたい!
しかーし。男言葉だし馬渕英俚可さんとのエロースなシーンもあったんだけども、成宮四郎は完全におかまちゃんだった。妖艶は妖艶だけどもそっちに行っちゃったか…。いや、そっちに行ってるだろうとは100%しょうちのすけだったんだけども。むしろそれを期待する私も心のどこかにいたのですけれど。キレイキレイ言うて見てたんだけども、途中で毒気に当てられてピーターさんにしか見えなくなって困った。あと声がちょっと割れ気味だったのが気になった。もともと大きい声出すとあんな感じなのかな。それとも潰れかけ?どこぞのアイドルの人みたいに、舞台で土下座とかいうことにならぬようお祈り申し上げる。
エンクミちゃんはあの特徴的な眉毛がなかったので、ガイドがなかったら誰だかわからなかったかも。女優陣の声のトーンが3者3様で面白かったけど基本成宮さんに釘付けだったのであんま見てなかった。お銭怖ぇよお銭。武蔵もボケちゃってんのかと思ったら、最後の最後で物凄い野心家っぷりを発揮してでびっくり。あと松平伊豆守の威圧感に痺れた。かっこいい!!
お銭に裏切られ、ボロ布のようになって死んでゆく天草四郎。「母上様!」という台詞に、あぁ、そういえば四郎は若いんだった、と改めて思う。ちやほやされて総大将に祭り上げられた17歳の少年の、異形の悲しみと2度目の死の苦しみが痛々しくて切ない。映画ではジュリーが自分の生首を小脇に抱え、高笑いしながら天に去って行ったけれど、こっちの四郎の魂は何処かで救われれば良いと思う。
華麗な舞台と成宮さんでいろいろ満足。うん、無理して行って良かったわ。

*1:休憩中のガイドのタイムスケジュールをくれたので、柳生七人衆のコメントとかは席で聞いた。成宮さんのコメントはなかった(四郎としての「携帯電源切れよ」アナウンスのみ)。

*2:30分。

*3:ツケ板という板を拍子木で叩いてパタンパタンと鳴らす、歌舞伎でよく聞く効果音

*4:説明が物凄くヘタクソでごめんなさい。

*5:失礼。

*6:両小鼻から口元にむかってのシワ。…加齢じゃなくてもともとある人のもほうれい線って言うのかな?