新旧『魔界転生』

魔界転生 [DVD]

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週末、ツタヤさんが半額レンタルだったので、深作欣二監督、ジュリー主演の81年版と平山秀幸監督、窪塚洋介さん主演の2003年版を立て続けに見た。大筋は同じだけど、違う映画ということでね。
ジュリーは綺麗だなぁ。妖艶。そして衣装もこっちのほうが素敵。江戸meetsグラムロックですよ。深作版は、80年代角川っぽいエロス&バトル風味で、原作とはかなりかけ離れています。ガラシャとか原作には出てこないし。舞台の予習のつもりだったので、両方借りてよかった。深作版だけだったら「全然違うじゃん!!」ってなるとこだったわ。
槍の名手でお坊さんである宝蔵院胤舜が、死の寸前、ガラシャの色香に惑わされて転生する(禁欲の人だからね)っていう設定*1はそれっぽくて良いと思った。そんで色ボケ坊主になっちゃうっていう。千葉真一さんが柳生十兵衛なので、JACの秘蔵っ子(当時)真田広之さんがこれまた原作にはない役でオイシいとこ持って行くのも80年代風。時代が時代なので特撮はしょぼく、死者を転生させる術がジュリーのセリフ「エロイムエッサイム!」ひとつだったりするのですが、逆に雰囲気があってイイなぁ。ホント今見ても全然面白い。全然面白い(2度言うよ)。
窪塚さんはあのぽんよよよんとしている(としか言い様が無い)台詞回しがいつもどおり一辺倒なのでなんつうかな。嫌いじゃないんです。「頭はキレるんだけど基本的におばかさんな今どきの若者」的役回りのときの窪塚さんのあの棒読み感が、「内面は割と激情型なのにそれをあんまり表に出さないで抑えている人」に上手く嵌った時とか*2。こっち版の天草四郎は、激情むき出しのジュリー版とは違って、割とそういう、憂いを帯びた感じなんですけども、だからといってもあの芝居はないなー。ていうかあの青白い唇とかコントみたいなんだもの。男前なんだろうけど「美しい」系統の人ではないので、そもそもそこが違うような気がする。
麻生久美子さんはかわいいね。この人の出ている映画、何本か見ているんだけど*3、毎回すごく感じが変わるのでとても良い女優さんだと思う。そして密かにエロいから好き。宮本武蔵長塚京三さんで、私が勝手に想像する武蔵像とは違い、ちょっとインテリっぽかった。でも実際武蔵は剣豪でありつつ、確か芸術方面にも秀でていた(京都のどっかに武蔵の描いた屏風絵があったような気がする)人なので、案外こんな感じなのかもな。
映画として楽しむなら深作&ジュリー版、舞台の予習なら…原作を読むことをお勧めします。原作を読む時間がない、思いつきで生きてるニコ子のような人は、ウィキあたりであらすじを調べ、それでもちょっと時間があったら平山&窪塚版を見ればいいとおもうよ。柄本明さんとか超いいから。

*1:平山版では強さへの執念。人は殺めない(お坊さんだから)という禁忌を破って転生する。

*2:IWGP』のキングが好例。ていうかそれ以外ではあんまり嵌ってるとこ見たことない。

*3:キャシャーン』『アイデン&ティティ』、あとTVだけど『時効警察』とか。