『[シュヴァンクマイエルのキメラ的世界]と[日比谷カタン]を2007年9月4日(火)チェコセンターに於いて鑑賞する悦楽共犯者たち。』

ラフォーレミュージアムで開催中"ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展 〜アリス、あるいは快楽原則〜"の関連イベントを見にチェコ共和国大使館に行ってきましたよ。肝心のメイン展はまだ見てないのに。冗長なタイトルどおり、シュヴァンクマイエルの映画と日比谷カタンさんのライブがいっぺんに楽しめる濃厚なイベントです。
上映されたドキュメンタリー映画シュヴァンクマイエルのキメラ的世界』は、昨年『ルナシー』公開時の併映を見逃し、さらには友人に「『ルナシー』よりドキュメンタリーの方が面白かった」と言われキリキリと歯軋りしていたモノであり、さらにはワタクシ、日比谷カタンさんというギター弾きのかたがたいそう好きでありまして、イベントを知った時には小躍りし、今日の日を誰よりも何よりも楽しみにしていたのです。こんなに楽しみなイベントは久しぶり。
広尾の閑静な住宅街の中にあるチェコ大使館は建物自体がもうかなり素敵で、否応なしにワクワク感が高まります。高い天井にシャンデリアにふかふかのソファ、地下に繋がる大きな階段、入れる機会などそうそうないと思われますので、ものそいきょろきょろしておいた。
地下の映写室で、まずは『シュヴァンクマイエルのキメラ的世界』上映。『オテサーネク』撮影前後のヤン&エヴァを追ったフランスのドキュメンタリー。らしい。女の子役の子供を探すのに、ヤンが「エヴァの子供の頃に似た子を探してる。」って言っててなんかホロリとした。『オールアバウト シュヴァンクマイエル (Lucaの本)』に載っていたヤンからエヴァへのメッセージ*1を読んで家で大メソメソして以来、このテのエピソードに弱いです。
あとは実写、コマ撮り、糸操り、いろんな手法で撮られる撮影の裏側が手品みたいで面白かった。私などはボンクラが服を着て歩いているようなものなので、裏側を見せられると必要以上にびっくりできるので楽しいです。普段あまり見られないインタビューも多く(ていうかエヴァの声初めて聞いた!)、1時間だけど内容がみっちりで大満足。
そして10分ほどの休憩を挟んで、日比谷さんのライブ。天才…とか言うと否定される*2と思うので言い換えると、へんてこ巧絶ギターと沢山の声で弾き語りをする異能の人でありお喋りで意地が悪くて面白い人。です。あとエナポゥさんに似ています。シュヴァンクマイエル同様、よくわかんないけどおもしろい、魔法っぽいところが好き。そして自分が触発される感じがとても好き。うーん、触発、というほど派手なものではなく。胸の中に、何か新しい種類の感情の芽が勝手に生えてくるような。ざわざわしてモヤモヤしてむず痒くて心地良いような。
例えば、私は『アリス』でうさぎが懐中時計にバターをペソペソ塗りたくるシーンが好きで好きで仕方がないのですが、なんで好きなのかという説明は出来なくて、わからないからモヤモヤして、でも好きでたまらなくて、探そうにも同じ種類の「好き」はまだ他に見つからなくて。日比谷さんの音楽も、そういう妙ちきりんな感覚を与えてくれるからきっと好きなんだろうなぁ。
とまぁライブの内容には一切触れませんが、とにかく堪能いたしまして、終演後には食堂のような小さなホールでチェコビールまで振舞っていただきました。チェコビールは香ばしさの中に甘味があって、飲みやすくておいしかったです。あー、いいイベントだったなぁ!脳みそが良い塩梅に揺れる感じ。
物販コーナーでものすごく迷ったんだけど、今日は日比谷さんのニューアルバムだけ買って帰りました。
これ欲しいヨー!!

人間椅子

人間椅子

でもこっちも欲しいヨー。
不思議の国のアリス

不思議の国のアリス

鏡の国のアリス

鏡の国のアリス

*1:エヴァの回顧展で発表されたもの。泣くわそんなもん。

*2:本人に。