きょんちゃんのはなし。

特に何を追っているという訳でもなく、毎月惰性で『FEEL YOUNG』を買って読んでいるんですが、今月号に岡崎京子さんの再録冊子が付いていた。今年でデビュー25周年。事故に遭われてから、もう10年が経ったらしい。今はどうされているんだろう。
きょんちゃんは私の憧れのお姉さん。80年代を生きた憧れの人。こういうこと書くのはあまりに中二臭いけども、確かに中二あたりで読んだ『pink』の帯の「愛と資本主義」というコピーは、20年近く経った今でも私の心に突き刺さっています。愛と資本主義。そう、世界は愛と資本主義。
今、ケータイ小説がリアルだと言う女子高生達の気持ちを私は鼻で笑うけれど、本当はなんとなくわかる。『リバース・エッジ』はたぶん当時の私たちのリアルだった。私たちは死体を見つけたわけでもなくゲイの友人もいない、男に殴られたこともないし過食嘔吐を繰り返すこともない。けれどもあの川沿いの団地の、あのヒリヒリする空気は確かにあの頃私たちのものだったんだよなぁ。ふわふわした80年代のラブ&ピース&ラブは私がいっぱしの少女になる頃、殺伐とした空っぽの90年代へ。溶けかけのアイスクリームみたいに甘くて冷たくてぐちゃぐちゃな世界。
彼女がマンガを描き続けていたら、21世紀はどう描かれているんだろうと思う。読んでみたい。彼女が自ら選んで筆を折っている訳ではないから、復帰を熱望したりはしないけれど、ただ、今も、穏やかに笑って暮らしているのなら良いなぁと思う。