『VITAL』

塚本晋也さんの映画が好きです。一般に「バイオレンス」とカテゴライズされる監督の映画はあまり見ないのですが*1、塚本さんの監督作品は別。痛いから。肉体も心も痛いから。そして、みんな果てしなく正常に壊れてるから。
前作『六月の蛇』で雨に包まれていたエロスとタナトスが、より高い湿度で「死」へ向かう。「あっち」と「こっち」を行き来する主人公を演じる浅野忠信さんのゲッソリ具合が不気味で良い。事故で死んだ恋人の献体に一瞬の躊躇いもなくメスを入れ、その全てを記録するべくスケッチを続ける(ダヴィンチがモデルなんだそうです)、鬼気迫る無表情。
今回も造形凄いなぁ。解剖されてゆくご遺体の精巧なこと…。他の映画を見ていてもあまり思わないのですが、塚本作品を見ていると「これはどうやって創っているんだろう…。」とよく思います。なんか憧れる。こういうものを創れる方たちに。
あとニコ子さんはロングヘアー前髪ぱっつんの女子に目がないので、KIKIさんが可愛すぎ。怪我して目が赤くなってるシーンとか最高です。いっつもキャスティングが良いよ*2

*1:『VITAL』はバイオレンスじゃないです。

*2:監督ご本人の演技含め