雑文。

うまくまとまらなかった。


結局小林賢太郎賛歌


小林賢太郎は危険な男である。
戦時中だったら真っ先にとっつかまるべき男である。
彼は私たちのような一般市民を扇情して劇場に扇動する。
机上の空論…に、手品師のテクニックを用いて人の心を操ろうとする。
彼がコント師でよかった。宗教家や政治家じゃなく、一介のコント師で。


小林賢太郎は危険な男である。
しかし、神と呼ばれる彼とて神ではない。
彼が神になりきれない部分、それは自身でネタバレを披露してしまうことと、時折見え隠れする彼自身のセンスが非常に微妙であること。
説明癖は彼の性分なのか、それともサービス精神の表われなのかはわからない。
もしや説明することで知的さが鼻に付くヤツ、という自分すら演出済みなのかもしれない。
音楽とマイムに合わせて、飛行機の図面が引かれてゆく。
リフに合わせ、ステージ上を覆う巨大な図面。
そして図面が落ちると共に、ステージ上に忽然と現れるライトフライヤー。
「ここでこうしたら感動するんでしょ?」
凡人の私たちは、彼の意図を知りつつも「おぉ!」とただ感嘆の声を上げるしかない。
マイムがカッコ悪いのはご愛嬌だ。


小林賢太郎は危険な男である。
彼の舞台を見ていると、西原理恵子を思い出す。
笑いの中に隠された、泥臭いセンチメンタリズム、つまり泣きどころ。
原稿用紙に向かった西原理恵子は言う。
「もっと笑わせて、もっと泣かせられると思うんだよなぁ。」
群集を笑わせるも泣かせるも、すべて自分のペンひとつ。
己にその才能があることを自覚している人間は恐ろしい。
ゆえに小林賢太郎は危険な男である。
彼は私を扇情し扇動する。