『アース』

ごはんの約束まで時間が空いてしまい、お茶をするにはちょっと長いし、ウロウロすると性格上間違いなく散財しそうなので、おとなしく映画を見に行くことにしましたよ。
新宿から渋谷までも視野に入れ、吟味に吟味を重ねたのですが、こういう時に限ってグッと来る且つ時間の合う映画がほとんどない。いつの間にか『グミ・チョコレート・パイン』も終わってるし*1草間彌生のドキュメンタリー(これいちばん見たかった)は時間が合わないし、『28週後…』はひとりで見るの怖いし、『人のセックスを笑うな』『陰日向に咲く』は見たい気もする…けど、1800円出すのはいまひとつためらわれる。普段うっかり劇場公開を見逃す映画は山ほどあるのに!タイミングというのはなんとも難しいものです。
というわけで、もしなんだったらうとうとしちゃってもいいかなー、ぐらいの気持ちで、無難に(…無難に?)『アース』を見ることにしました。映画館で寝たことはあまりない(どうにも眠くなったことはある)けど、バルト9のふかふか椅子ならネカフェあたりより寝られるのではないかと思った。暗いし。結果全然寝ませんでしたけど。
その名の通り、北極から南極まで、地球をぐるり一周する映像ドキュメンタリー。シロクマ死んじゃってガーン!てなった。まぁなんといっても映像美ですよ。自分が一生肉眼で見れないであろう風景をこんなに綺麗な画で見れる幸せ。科学万歳。私はNHKの『プラネットアース』もけっこう見こぼしているので*2、初見の映像も多く、かなーり楽しめました。単純に、へー!すげー!へー!と。
春先に巣穴から顔を出す白熊の子とか、巣穴から初飛行(ほぼ垂直落下)する鳥の雛とか、砂嵐の中歩いて目が見えなくて木にのしーんとぶつかる象の子とか、まーかわゆくてヨダレ出ます。胸に蝶ネクタイ(まさに蝶ネクタイ)を付けたゴクラクチョウのフォルムが謎過ぎ。
あと自然の摂理として、当然捕食のシーンが出てくるわけですが、子供の頃はこういうのって「わぁ痛い痛い!かわいそう!」と喰われる側に感情移入して見ていたような気がするんだけど、今日はお腹が空いていたからか完全に捕らえる側に立って「よっしゃ行け!」みたくなって見てた。狩られる側(主に偶蹄目)のわっしょい!わっしょい!と必死に走ってもつれてコロリと転げ、引っ掴まれての「あー。もうたべられちゃうー。」という、諦念を湛えつつどこかぽやんとした黒い瞳が印象的。でもなにより鹿っぽいやつ(アバウト)を捕まえ首根っこに齧り付く豹っぽいやつ(アバウト)の動きと筋肉の無駄のなさがエロ過ぎてドキドキした。
海のシーンは思ったより少なかったな。私は水中で動いている機械などがなぜか昔から怖くて仕方がなく、例えばイッツアスモールワールドで船から見え隠れする水面下のモーターとかがちびるぐらい怖いんですけども(暗い水が怖いわけではないと思う。泳げるし。あと水槽越しなのも平気。)、大画面でザトウクジラ見たら同じような怖さを感じてあんまよく見れなかった。
個人的にはナレーションと音楽がもっと少ないほうが良かったな。ナレーションは「ふんふん、なるほどね。」という親切設計をありがたくも思ったけど、ドラマチックな音楽とか全然いらない。ただあの画と自然の音が流れてるだけでも十分成立するのに。あとたまたま字幕版で見たという身近なオスの人が「(画面の)どこを見ていいのかわからなくなった」と言っていたので、これは間違いなく吹き替え版で見るべきだと思った。あの映像に字幕かかっちゃうの勿体無いです。
余談ですが、数個となりにいたカップルが「あー!しろくまぁ!」「…、……(男の子の声は聞き取れない)。」と要所要所で小粋なお喋りを挟んだ上に、オスが画面を指差し(!)説明をしている風だったのでイライラしました。家か。ゴクラクチョウの求愛ダンスには興味はあるがおまえらの求愛行動(「かわぃぃ動物を見てはしゃぐあたしかわぃぃ」及び「博識なオレかっこいい」メソッド)にはビタイチ興味ねぇよ、って思いました。家でやれ。
あとこういうところに来るといろんなカップルをつぶさに観察してしまう、さもしい三十路がもひとつ報告すると、『スウィーニー・トッド』終わりで喫煙所にいたカップルのメス(ギャル。オスはメスのカバンを抱えた人の良さそうな大学生風非喫煙者)が「つーか全然ジョニーテップっぽくなくね?あたしずーっと最初に出てきたの*3がジョニーデップだと思ってた!」とちょう文句を垂れていたので面白かったです。あれ以上のジョニーらしさはどうやって出せばいいのだろう。あのメスの中のジョニーがどんなルックスなのかは知りませんが、よくワイドショーなんかに出てくる普段のもさーっとした姿がいちばん近いのはコレかな…。

このジョニー好き。メ、メガネー。

*1:バウスシアターでレイトショー中。自分用メモ。

*2:BBC制作、NHKでも放送されたプラネットアースの再編集版(?)のようなモノであるらしい。

*3:アンソニー役の若者のことだと思われる。