『グミ・チョコレート・パイン』

青春小説の金字塔、グミチョコ完全映画化!…って遅いか。遅いよね。
昨年末からのテアトル新宿での上映を見逃し、バウスシアターでのレイトショーを見逃し、Q-AXでの都内上映最終日にようやく滑り込みで見てきました。危ない!これ見逃さないでよかった!!サブカル男子全員必見ですよ。
なんでしょうね、僕らの世代としては、

原作はオーケン、監督はケラ、主題歌は電グル、そして観客はオレ! サブカル万歳!

ニコ子さんの映画エントリではすっかりおなじみ瓶詰めの映画地獄 〜一筆啓上我執が見えた〜より

もうこれに尽きる。これ以上にこの映画を表現した30代半ばサブカル男子の言葉がこの世にあるだろうか!!
しかもこれがまたいい映画なんですよ。大槻さんの原作は確かに面白いし、青春小説の名作であることに変わりないのですが、やはり私は女子なので、そこまで入り込めないお話なのですよね。だって賢三たち男子はみんなバカで等身大だけど、美甘子には感情移入できないもん。さらにパイン編に至っては、作者センセイも年を取ったというかなんと言うか、美甘子主体のエロ小説になりつつあり、女性不信丸出し(だと思った)のラストには正直ありゃー…と思ったわけです。それが今回、映画に生まれ変わって、あのお話がケラさんの手にかかるとこうなるのか!という嬉しいサプライズも満載。原作とは別物、という注釈を踏まえてもなお、あのモヤモヤが昇華され、ああ良かったなぁ、という美しい青春映画に。
原作にはない、現在の賢三の姿が描かれるということで、そこが映画化成功のキーポイントだなぁ、という気もしていたのですが、これが!想像以上に良かった。補足的な役割でちょこっと出てくるだけかと思ったら、けっこう大事な部分を担っていて。
こちらのオトナ賢三は会社をクビになったしがないサラリーマン。カワボン…は好きなことやってるぽかったけど、美甘子、賢三のお父さん、タクオ、タクオの父母、憧れの先生、憧れのミュージシャンみんなそれぞれどうしようもないことになっており、それらひとつひとつがいちいち秀逸なんですよ。初監督作『1980』(やナイロンの舞台)を見たときも思ったけど、私このケラさんの描く最悪のエピソード群がホント好き。どん底だけど笑っちゃう、もう笑うしかない、っていう、このギリギリの感じ。
で、若者パートは、俳優さんたちの演技が良い!なんというボンクラ!なんという自然体!柄本佑さん以外知らない俳優さんたちだったのですが、男の子4人とも良かったなぁ。手紙の謎も解け、キュンとしたラストに流れる電気グルーヴの『少年ナイス』がまたちょう名曲です。80年代ライクなPVが話題で、私も映画館で聞く前に、何度か見たんですけどね。ケラ×オーケン×電気、っていうこの組み合わせがナゴム者として感慨深い、みたいなものもあるんだけど、あそこで流れると、単純に曲の良さが沁みるてもう泣ける。
あーこれ男の子に生まれ変わってもいちど見たいな。